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肩こり

肩こりとは・・・

火傷や骨折のように激しく緊急性の高い痛みと異なり、肩こりは首、肩、背中が重だるく鈍い痛みを伴う症状です。単なる筋肉疲労による強ばりは多くの人が日常的に経験するものです。

ツッパリ感や痛みだけでなく、首を動かせない、動かしにくいという運動制限が起こることもあります。

肩こりの原因とは・・・

人の頭の重さは、3~4Kgもあります。その頭の動きをささえている頚椎の骨や椎間板は、真っ直ぐに立っているだけでもかなりの負担がかかっています。 

そしてそれ以上に負担をかけるのが、首を斜め下に向ける動作、例えば、携帯電話やキーボードの操作、本や新聞を読む姿勢、料理などによるものです。頭の重さ以上の負担がかかった状態で、同じ姿勢を続けていると筋肉の持続的な緊張によって筋肉が硬くなり、凝りを生じることになります。

若い人と中高年の方とでは主な原因に差があります

若い人は

*筋肉疲労、スポーツ障害、外傷などによる筋肉・関節の炎症

*胸郭出口症候群など

中高年の方は

*頸椎や肩関節の加齢変化によるもの

*筋力の低下、運動量の減少によるものなどが多くみられます

らかの病気の症状としての肩こり・・・

肩やその周辺に原因があるもの

  ・五十肩(肩関節周囲炎)

  ・胸郭出口症候群

  ・頸肩腕症候群

頸椎に原因があるもの

  ・頸椎症

  ・頸椎後靱帯骨化症

  ・頸椎ねんざなどの外傷

  ・頸椎腫瘍

  ・リウマチ性脊椎炎

内臓などの病気によるもの

  ・高血圧、低血圧、狭心症

  ・自律神経失調症

  ・更年期障害

  ・眼精疲労

  ・貧血

④その他

  ・うつ病

  ・精神的緊張、睡眠不足

  ・寒さ

**専門的な治療を要すると考えられるもの**

痛みが増悪したり、手足のしびれ、感覚が鈍くなる、手指の動きがぎこちなくなるなどの症状がでてくる場合は素人判断せずに、まず一度整形外科の診療を受けるようにしましょう。

レントゲンやMRIによる撮影、時には血液検査などを行います。もっとも、検査結果に頼り過ぎるのも危険です。

年齢に伴う自然な背骨の変形を病気と診断したり、痛くも不自由もないのに、病名がついてしまうこともあります。また、手術をしてもしびれが残ることもあります。納得のいく方法を検討しましょう。

自己管理でできること

*痛い時には無理をしない

*どんな時に緩和し、どんな時に増悪するか、判断する

*温めて血行を促し、筋肉のこりをほぐす

*ストレッチや、軽い運動をする。手で頭を押しながら行う抵抗運動もお勧めです。

五十肩(肩関節周囲炎)

五十肩とは・・・

特に原因なく肩が痛くなる、上がらなくなるといった症状があらわれます。両手を頭部に持っていく、髪を結うような動作(結髪)や両手を腰に回わし、帯を結ぶような動作(結帯)が痛みで困難となります。レントゲン検査はふつう正常です。

肩をあげる筋肉と骨とを結びつける「腱板」や、骨と骨とを結びつける「靭帯」に炎症が起こります。

当初痛みはかなり強く、腕を動かしたときはもちろんのこと、安静にしていても激しい痛みがあります。ひどい場合は、痛みで眠れなかったり、あるいは、痛みのために目を覚ますこともあるほどです。

肩関節の動きをつかさどる筋肉の4つの筋肉(棘上筋、棘下筋、肩甲下筋、小円筋)が骨に付着する部分(腱)を腱板といい、この腱板は上腕骨の有縁部分(結節部)についています。年齢とともにこの腱板の炎症や部分的な断裂、また腱板の上にある肩峰下滑液包の炎症や癒着がおこりやすくなり、肩の痛みや動きの制限になっています。上腕二頭筋の腱に炎症がおこり肩の痛みや動きの制限につながることもあります。

肩関節周囲炎は、肩関節の炎症によって痛みが起きる病気ですが、五十歳代に好発するので俗に五十肩といわれています。

ほうっておいても半年から2年くらいで治りますが、痛みを抑えつつ、肩をできる範囲で動かすことで、痛みや動かしづらさなどの症状が早く治ることがあります。

「何もせずに痛い!」 は重症です                         

五十肩の原因・・・

40代後半から60代にかけて好発し、肩周囲の疼痛や運動制限が徐々に生じてくるのですが、原因ははっきりとはわかりません。加齢による肩関節周囲軟部組織の退行変性を基盤に炎症性病変を生じた症候です。

疼痛は寒冷によって憎悪し、夜間に強くなる傾向があります。冷えや、夜間の血行不良で、肩や腕の筋肉や肩関節に酸素や栄養分が筋肉のすみずみまで届きにくくなります。

その結果、疲労物質が蓄積してしまい、これが刺激となって凝りや炎症を悪化・慢性化すると考えられます。

何もしないでも痛いという自発症は重症です。夜中に痛みが出るのが特徴です。もともとの炎症に圧がかかり痛みになります。

五十肩の症状・・・

肩関節周囲炎、いわゆる五十肩は、4つに分類できます。

 

肩を動かすと痛みがおこります。腕をあげたり、背中にまわしたりするときにも痛みます。初めは痛みが強、夜間、とくに朝方に強くなります。そして、しだいに肩の動きが不自由になってきます。

ただし、腱板に石灰が沈着する石灰沈着性腱板炎の場合には、ある日急に何の前触れもなく肩に激痛がおこり、まったく腕をうごかせなくなることもあります。この場合はレントゲンで石灰の沈着がはっきりわかります。

また、転んで肩を打ったあとや重い物を持ち上げた時に、急に肩が痛み腕を上げることができなくなった場合には腱板断裂の可能性があります。その際は、整形外科医の診断を受けることをお奨めします。

治療・・・

保存的治療が原則です。ホットパックや温熱療法と肩の動く範囲を広くする運動療法が治療の中心となります。家庭では、入浴後に前鏡の姿勢をとり、アイロンを持って腕を前後左右に振るという運動があります。

腕の動きが非常に悪くなかなか改善しないときには、麻酔薬を注入したり、突っ張っている靱帯を切除する手術を行うこともあります。

鍼治療は五十肩の治療に適した施術です。前述の運動に加え鍼治療を並行的に受けることで、完治の時間が短縮されます。

そのまま放っておくと、半年から2年くらいで痛みはなくなりますが、腕の可動範囲が狭くなる可能性もあります。早めの治療をお奨めします。

下のイラストは、コッドマン体操という五十肩の症状を緩和するためのアイロンを使った体操療法です。

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